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有機光電子工学デバイスのレーザー構造化
S neoxの共焦点機能と150倍対物レンズを使用して、レーザーで書き込んだ幅数ナノメートル、深さ約100 nmのラインをモニターしました
カールスルーエ工科大学(KIT)の有機太陽電池グループは、有機太陽電池セルと半導体デバイスの製造、最適化、シミュレーションを研究しています。ここでは、新しい材料、堆積法、デバイス製造の評価に焦点を当て、単層堆積や構造化からデバイスの特性評価にいたるまでの全段階を含め、評価を行っています。
本研究では、照明器具向けの大型有機光ダイオード(OLED)の製作が課題でした。これには、デバイスの電流を抑えて抵抗損失を防ぐために、見えない状態でOLEDを直列接続することが求められました。選択的に層を構造化するために、フェムト秒レーザーを使用しました。
OLEDの半透明電極の高い抵抗は大きな抵抗損失を引き起こし、この抵抗損失がデバイスの不均一な発光の原因となります。この問題はより小さなOLEDを直列接続することで解消できます。デバイスの小さな面積が電流を制限するため、デバイスの全体の電力損失が減り、均一の輝度が維持されます。
デバイスをモノリシックに直列接続するために、3つのパターン化のステップ(以下「P1」、「P2」、「P3」)を実施します(図1)。 P1は下部の電極を電気的に分離します。 P2は上部と下部の電極の接続を許可し、
P3は上部の電極を分離します。 このP1-P3の間の領域は発光しないため、最小限に抑える必要があります。 レーザーアブレーションは、P1、P2、P3を構造化し、非作動領域を減らす方法として実証されています。
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P2を構造化するために、下部の電極を傷付けないことが極めて重要です。この場合、P2はSuperYellow/PEI/ZnOの異なる3つの層で構成されており、3層の合計の厚さは50~60 nmです。
図2は、レーザーで書き込まれたライン(λ=550、F=210 mJ/cm2、パルスオーバーラップ率95%)の3D輪郭を示しています。アブレーション深さは60 nmを超え、下部の電極の一部は取り外されています(濃い青色の領域)。
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図3は、レーザーで書き込まれたライン(λ=550、F=110 mJ/cm2、パルスオーバーラップ率85%)の3D輪郭を示しています。
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アブレーション深さは60 nmで最適化されています。ITOは、デバイスの性能を妨げない無視できる程度の損傷を示しています。図4は、レーザーで書き込まれた最適化されたラインのプロファイルを示しています。このプロファイルは約50 nmのアブレーション深さと幅5 μm未満の細い線を示しています。
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S neoxの共焦点機能と150倍対物レンズを使用して、レーザーで書き込んだ幅数ナノメートル、深さ約100 nmのラインをモニターしました。この装置で薄膜の層を測定することで、アブレージョンの分離性能が低い場合にそれを検出することができます。