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アフリカの4万年前のオーカーを使用
共焦点法は異なる岩石を使って削られたオーカー片の研削面を識別する効果的な方法です
「オーカー」とは、赤や黄色や筋を特長とする酸化鉄を多く含む土の塊や鉄鉱石などのさまざまな岩石を指します。現場で出土した多数のオーカー片は、特に剥離痕や削ったことで付いた筋のような使用痕が見られます。オーカーの加工に使用された21個の砥石も、大半のオーカー片の発見場所(Rosso, Pitarch Martí and d’Errico 2016)と同じ現場(Rosso, d’Errico and Zilhão 2014)で発見されました。
他の標準的な解析法と並行して実施したトライボロジー解析では、オーカー片がどのように加工、使用されたかについて理解を深めることを目的としました。
解析サンプルにはオーカー片の研削面が含まれました(図1)。これらの研削面は文献によく記述されていますが、これまで定量的な特性評価は実施されていませんでした。現場で出土した砥石に類似する異なる岩石で作った砥石でオーカー塊を削る実験によって、比較フレームワークの作成が可能となりました。
弊社は、研削面の特性評価に一般に使用される可変要素(大きさ、溝や筋の有無、片上の位置など)を記録し、非破壊的な3Dトライボロジー解析を実施しました。
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研究は1つ以上の研削面を持つ微細粒の出土品オーカー片19個と、超微細粒、微細粒、粗粒から成る3つの実験用オーカー片を使用して実施し、それぞれのオーカー片を石灰岩、石英岩、砂岩の砥石で削りました。
広い面積をとらえるために、Sensofar S neoxの20倍明視野対物レンズでZ軸の範囲を数ミリにして取得した視野5×5の範囲を測定しました。データ処理(形状と異常値の除去、非測定点の充填)後の表面の一部が(図2)に示されています。
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ガウシアンフィルタ(カットオフ0.25 mm)を適用して粗さのみに焦点を当て、複数の標準パラメータ(ISO 25178)をテストした後、実験用の研削面を区別する最も効果的な選択はSqとSdrであることが示されました(図3)。場合によっては、同じオーカー片に属する研削面の粗さの数値に大きな差が見られました。
これは、オーカー片のいくつかは、少量の粉末を生成するために異なる砥石で、おそらく異なる時期に加工されたことを示唆しています。同時に実施した比色分析と粒度分析は、生成された粉末の色と粒度が異なり、実際に実用的または象徴的な異なる目的に使用されたことを示しています(Rosso, d’Errico and Queffelec 2017)。
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共焦点法は異なる岩石を使って削られたオーカー片の研削面を識別する効果的な方法です。研究結果は、4万年前の中期石器時代のポーク・エピックの洞窟の住人によるオーカーの加工と使用についての理解を深める助けとなりました。
その他の中期石器時代の発掘現場から出土した数々のオーカー片に同じ方法論を適用すれば、時期によって変化したオーカー片の加工方法の特定が可能となり、当時の社会においてオーカー片が果たした役割に関する重要な情報を取得し、人類の歴史で顔料の象徴的な使用が始まった時期の特定に役立てることができます。