![レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)に関連するアブレージョンクレーターの特性評価 レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)に関連するアブレージョンクレーターの特性評価](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/bfi_thumb/cs12-PACEA-LIBS-H-qpscd0td7i7bxom4szm9ai92oqyl34zr6hr9j7o1ds.jpg)
レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)に関連するアブレージョンクレーターの特性評価
PACEAは、フランス国立科学研究センター(CNRS)、ボルドー大学、フランス文化省の研究機関です。主にヨーロッパ・アフリカ地域の旧石器文化とその環境、自然人類学、 葬儀慣行、岩絵の研究を行っています。
共焦点法は、異なるLIBS分析計によって付いたクレーターの大きさ、寸法、深さの調査と特性評価に効果的であることが実証されました
本研究の目的は、1) レーザー誘起ブレークダウン分光(LIBS)測定に関連するフレスコ画(図1)のサンプル上のアブレージョンクレーターの特性評価、2) 携帯型分析計(EasyLIBS)と試験室用分析計に関連するユーロの2セントコイン上(図2)のクレーターの比較の2つです。
![cs12-PACEA-LIBS-1 cs12 PACEA - LIBS 1](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-1.jpg)
![cs12 PACEA – LIBS 2 cs12 PACEA - LIBS 2](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2019/12/cs_crater-libs2.jpg)
LIBS測定に関連するアブレージョンクレーターの大きさと深さの研究を実施しました。3D光学式形状測定装置S neoxの共焦点モードを使用してクレーターを分析しました。これを目的として、1、3、8、10、15、20回のレーザー投射による6つのアブレージョンクレーターを形成しました(図3)。最初の定性的観察で、クレーターには薄暗い光輪が付いており、衝撃によって物質が高温加熱されていることが確認されました。これは熱影響部(HAZ)と呼ばれ、レーザーアブレーションとしてよく知られています。
![cs12-PACEA-LIBS-3 cs12 PACEA - LIBS 3](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-3.jpg)
形成されたすべてのクレーターの、クレーター寸法の平均は約800 µm x 400 µmです。投射20回で形成されたクレーターをさらに詳しい研究の対象としました(図4)。実際は、クレーター内でさらに深く窪んだ約160 µm x 100 µmの部分を観察しました。それぞれのアブレージョンクレーターで同じように観察を実施しました。
![cs12-PACEA-LIBS-4 cs12 PACEA - LIBS 4](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-4.png)
各クレーターで取得したプロファイルはクレーターの深さが投射回数に伴って増加することを示す(図5)。20回投射後のサンプルの最も深い部分の窪みは約100 µm。
![cs12-PACEA-LIBS-5 cs12 PACEA - LIBS 5](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-5.png)
EasyLIBS分析計では、形成されたクレーターとの境界に幅の広い均一な輪を観察できます(図6)。全体的にクレーターは非常に平坦で浅く、溶融塊が形成されクレーター内に残り、放出していないように見られます。
![cs12-PACEA-LIBS-6 cs12 PACEA - LIBS 6](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-6.png)
試験室用分析計で実施した測定では、クレーター周辺全体に物質の放出が確認できます(図7)。また、試験室用分析計を使用して形成したクレーターはすべて、物質が堆積する「エッジ」があります。コインの表面に関するこれらのエッジの高さは、投射回数によって4 µm~20 µmの範囲で変化します。
![cs12-PACEA-LIBS-7 cs12 PACEA - LIBS 7](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-7.png)
表1は、EasyLIBSと試験室用分析計を使用して異なる投射回数で形成したクレーターの深さの比較を示しています。さらに、図8と図9は両LIBS分析計で50回および500回投射した後の2D画像をそれぞれ示しています。
![cs12-PACEA-LIBS-8 cs12 PACEA - LIBS 8](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-8.png)
![cs12-PACEA-LIBS-9 cs12 PACEA - LIBS 9](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-9.png)
![cs12-PACEA-LIBS-10 cs12 PACEA - LIBS 10](https://www.sensofar.com/wp-content/uploads/2021/03/cs12-PACEA-LIBS-10.png)
3D光学式形状測定装置S neoxは、レーザー誘起ブレークダウン分光測定に関連するアブレージョンクレーターについて調べるための高精度かつ高速で使いやすいツールであることを示しました。3D光学式形状測定によって、定性的、定量的分析が可能となり、特に共焦点法は、異なるLIBS分析計によって付いたクレーターの大きさ、寸法、深さの調査と特性評価に効果的であることが実証されました。
これは美術工芸品に微小破壊的な方法を適用する前に、その利点とリスクを評価する必要がある考古学者やキュレーターにとって重要です。